信用と信頼
「信用」と「信頼」と何やら似たような意味を持つ言葉があり、私を含めて皆さんも詳しい意味などを考えずに、それでも日常会話などでは二つの言葉を使い分けていますよね。
おもに人との付き合いなどで、自分以外の人との間で実際に起きたこと、周知とされているものごと、そしてそれらを含めて自分のこれまでの経験や知識を駆使して相手を「信頼」したり、「信用」したりして自分の行動のベースにします。
このブログでも、「信用」と「信頼」は中心となる大きなテーマなので「第16話 人を信じる」「第17話 信用とは積み重ね」「第18話 信頼は自己責任」「第19話 誰の言うことを信じるかは能力」などのタイトルで「信用」と「信頼」について書いてきました。
言葉の意味は、「信用」とは「確かなものと信じて受け入れること」、「信頼」とは「信じて頼りにすること」とあります。
一般的には、「過去を信用」し、「未来を信頼」するという関係で「信用」と「信頼」は理解され、使い分けられています。
もう少しわかりやすくいうと、「信用」というのは、過去の行動や結果・成果を自分なりに評価して確かなものであると受け入れるということです。
一方で、「信頼」というのは、自分の未来の行動に対して自分の知識経験からある人などを信じて期待することということです。
「信用取引」という言葉はあっても「信頼取引」という言葉はなく、「信頼関係」という言葉はあっても「信用関係」という言葉はありません。
信用とは
これまでの取引実績や行動実績から相手を「信用」して、取引の継続や取引条件の取り決めを行ったりします。
これまでの自分の行動に対する相手の対応の積み重ねをデータとして、さまざまな状況での相手の行動を分析し、その時々に相手を「信用する」か「信用できるか」、またはそうでないかを判断します。
自分との間での客観的な実績や成果をベースにした相手への評価に基づくもので、相手の人柄などの主観的な人物評価などは「信用」の補完要素ではあっても絶対条件にはなりません。
「信用」は英語でcredit(クレジット)といいます。代表的な言葉にcredit card(クレジットカード)があります。あなたを「信用」してクレジットカードを発行し、買い物などを後払いで楽しむことができますが、クレジットカード発行会社への「信用」に応える責任と義務があることが前提になっています。
信頼とは
一方で、これまでのお付き合いで感じた誠実さなどから、期待を裏切られることはないだろうと「信頼」してお付き合いを継続します。
「信頼」のベースになる誠実さを相手から感じるというのは、これまでのお付き合いでの自分やほかの人に対する対応などの印象の影響が大きいので、自分の中にある感覚というセンサーの感度が大切になります。
未来のことは予測が難しいので、これまでのお付き合いの結果から相手の行動を推測して、期待する状況になるとして相手を「信頼」しますが、あくまでも主観的な判断となるため、これまでのお付き合いの密度などにも影響されることになります。
さらに「信頼関係」は、一方的な期待だけでは築きにくく、お互いのお付き合いの成果の積み重ねになりますが、始まりはまず相手を信じることになります。
まずは信じてみて、その後のお付き合いの結果でその時の判断の正否を評価し、そこでその先の人物評価基準を決めたらいいのではないでしょうか。
信用、信頼で大切なこと
いずれにしても相手を「信用」したり、「信頼」したりするのは自分の能力次第ということになり、相手から「信用」や「信頼」を得るためには相手に対する継続的な誠意を示すことが必要です。
ただ、長いお付き合いのなかでは、相手も状況の変化などによって変わっていくでしょうし、自分に対する相手からの期待もいつまでも同じということはない、ということを理解したうえで、良好な関係を維持していきたいものですね。
「信用できる人」「信頼できる人」が身の回りにいるということは、これまで確かな人生を過ごしてきた証で、自分自身の自信にもなって大変に心強いものでしょうが、逆にそのような人が身の回りにいないということは不安に感じることもあり、自分のどこかを変えていかなければならないかも知れません。
身近な人たちから「信用」や「信頼」に足る評価を得られていなければ、それより遠い関係の人たちと継続的なそれらをベースにしたお付き合いは難しいことでしょう。
「信用」や「信頼」の判断に、相手の身近な人たちからの評価というのも参考になることが多いですね。
身近の人とは、身近なだけに接する機会や時間も多く、それだけに気を許している状況もあって、比較的取りつくろっていない自分が出ていることになり、身近な人もその変化に気づきやすいので、的を射た評価を受けやすくなりますね。
自分のことやお互いのことをよく知っている身近な人たちの評価は大切にしたいですね。
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