第52話 エンパシー

考え方が変われば生き方も変わります
悩むことで心を傷つけるより、頭を使って考え、違う生き方を試してみませんか

「エンパシー」は相手の立場で

前々回が、「ラポール」が「心が通い合う関係」という話題で、前回は「シンパシー(同情)」という話題でしたが、もう一つお互いの気持ちを理解し合う関係を表す言葉に「エンパシー」があります。

「エンパシー」は、英語では「empathy」と書き、共感や感情移入という意味があり、一般的にはあまりなじみがない言葉ですが、ビジネスの世界では相手を理解するために重要な能力と言われています。

相手の考えや意図を知ることができれば、円滑なコミュニケーションが可能となるからです。

前回の「シンパシー」も共感を意味しますが、「シンパシー」には自分の経験や立場から、どちらかといえば自分が勝手に、相手に関係なく相手を思いやるとか同情する、といったニュアンスがありますが、「エンパシー」は、相手の立場に立って相手の考えや気持ち・感情を想像することであり、「シンパシー」とは異なるニュアンスがあります。

「エンパシー」の技術があると

ビジネスシーンの円滑なコミュニケーションで心がけなければならないのは、敬語などの言葉遣いや、何をしたら相手が傷つくかを想像することなどの配慮です。

リーダーや管理職にとっても、メンバーに対して高い共感を示すことができれば、信頼を得られるでしょう。

「エンパシー」を持つことができるスキルは、ビジネスシーンにおいて、良好な人間関係の構築や維持、業務のマネジメントなどにおいて役立ちます。

たとえば、部下が仕事でうまく成果を出せなかったときも、相手の感情に対して励ましの言葉や頑張りへの評価などのねぎらいの言葉をかけるなど「エンパシー」を示すことができれば、相手は「この人は自分をわかってくれている」「自分を認めてくれている」という感覚をもてるでしょう。

「エンパシー」が高い人には、好奇心があったり、傾聴力高いという特徴があります。

一般のコミュニケーションにおいても、相手の考えや意図がわからないときに、相手の立場になって考えるなど、相手を理解しようとすることから、好奇心が強い人は、自然に相手への「エンパシー」を発揮するため、「エンパシー」が高い傾向にあります。

傾聴力という、相手の話しをあるがままに受け入れ、共感を示しながら話しを聴く能力があると、相手からの信頼も得やすく、信頼関係を築くことができるため、相手も自分についてさまざまな情報を話してくれるようになり、「エンパシー」を示しやすくなるでしょう。

傾聴力を持って話しを聴くことによって、相手は「自分の話をしっかり聴いてもらえた」「自分をわかってもらえた」という感覚を持つことができます。

「エンパシー」とは「シンパシー」よりも奥が深く、表現するためには相手の状況や感情を感じ取らなければならないことから、共感する人の感情の状態に多くのエネルギーを伴いますが、いったん職場での共感が生まれれば、個人同士のつながりを強め、チームとしての一体感を高めることができます。

プライベートな付き合いでは、会話などで「心が通い合う」「ラポール」や「相手への同情」の「シンパシー」は、比較的自然に生まれますが、ビジネスの世界で「エンパシー」は、必要に応じて意図して起こさなければなりません。

当然に「エンパシー」による良好な関係を構築するためには、技術が求められますが、まずは「エンパシー」を結ぶことができる信頼関係があることが前提です。

お互いや職場の雰囲気が、日頃からそれぞれの心が開かれていて、なんでも話すことができて、聴いてもらえるという信頼関係が必要です。

そんな関係がある付き合いや職場では、ほかにも伸び伸びと活躍ができていると思われるので、お互いがそれぞれの個性を発揮している生産的な環境であることでしょう。

基本はコミュニケーション

個人でも職場でも良好な人間関係を築き、続けていくには、良好なコミュニケーションが不可欠ということです。

ここまで、コミュニケーションを通じてお互いの気持ちを理解したり、共有する状態をいくつか説明してきましたが、相手との関係や立場、気持ちを共有する理由、気持ちを共有した後の行動などによってさまざまな状態があります。

いずれにしても、気持ちが沈んでいる人の話しを聴く場合には、思いやりが必要ですが、相手を支えるという気持ちが大切で、支えきれずに相手と同じ心境に陥ったり、支えられなかったことに責任を感じたりすることは相手も望んでいないことなので、話しを聴いたあとのアドバイスや支援などの行動ができないと感じた場合には、話しを聴くだけにとどめましょう。

相手は、話しを聴いてもらうだけで自分に寄り添ってもらえて、感謝の気持ちが起きるし、話すことで自分の考えの整理もつけられるので、気持ちが安定するきっかけにもなります。

人は一人では生きていけません。お互いの信頼関係のなかで支え合うことが大切です。

今回は話しを聴く立場でも、次は逆になるかも知れないし、違う人の話しを聴くかもしれません。

また、実際に気持ちが沈んで相談する状態になったことがなくても、いざそうなった時には支えてくれるだろう、と思える人がそばにいることは心強いので、そういう人は大切にしたいですよね。

羽澤 幸成

学生時代の県人会幹事長として、のちに大活躍される国会、県会、市会の議員の方や役所の方、趣味の音楽活動を通じて芸能の世界で生きている方など多くの人たちに接し、社会人になってから海外進出など多くのプロジェクトを軌道に乗せ、その分野の専門の方たちとも知り合い、いくつかの新しいことにもチャレンジして、早期退職後の企業信用調査の仕事では、それまでの大きな会社の人たちとは違う中小企業や個人事業の方たちとお会いし、いまは地域コミュニティ活動を通じて地域の方たちと交流活動をしています。
それらのキャリアを通じて、たくさんの経験をし、外国の方も含め多くの人たちに出会い、楽しいことばかりでなく、いやな思いもたびたびして、いろいろなことを学びました。
それぞれの世界で、多くの人たちが作る人間模様のなかで、うまくいっている人やそうでない人もいて、能力以外に考え方が違うのだ、と感じました。
人それぞれ考え方が違うので、当然に生き方も異なり、一緒に仕事や生活をしながら、なぜ、そうするのかを考えることの繰り返しで対応しながらも、自分の信念は曲げずに生きてきたので、心を痛めて悩んでいる人に、こうは考えられないかな、と頭を使って苦境を打開するキッカケになってくれればと思っています。

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人間模様

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