やっていることは同じようでも、実は全然違うこと
ふだんなにげなく使っている状態や行動を表す言葉のなかに、似ているけれど意味するものが全然違うものがあります。
第4話でもお話しした「考えること」と「悩むこと」がその代表ですが、ほかにもあります。
「反省」と「後悔」はまったく違う
まず、「反省」と「後悔」です。
同じ過去の出来事を振り返ることですが、それがうまくいった場合でも、望む結果が得られなかった場合でも「反省」して、次に同じようなケースが起きた場合への対応策を「考える」ことが「反省」で、それは「経験」へとつながっていきます。
一方「後悔」は多くの場合、望む結果が得られなかった過去の出来事を振り返り、「ああすればよかった」とか「私のせいで良くない状況を生んでしまったのでは」と推測することです。
やってしまったことや起きてしまった結果は変えることができないので受け入れるしかなくて、いくら「後悔」で思い悩んでもいまの状況はなにひとつ変わりません。
「反省」して事態収拾の対策を考えるとか、次のよりよい方法を考えることが最善の対処です。
「後悔」は「悩むこと」と同じで、心を傷つけるだけです。
「心配する」と「備える」はまったく違う
次に、「心配する」と「備える」です。
これから起こるかも知れない望まない状況に対して、「起きたらどうしよう」とか「こんな状況になるのではないか」などと「心配」しているだけなら、おそらく想像している望まない状況になってしまうでしょう。
これから起こるかも知れない望まない状況に対してはまず、起こらないような対策を立てることです。
どうすれば望まない状況が起こらないか、起きたとしてもその程度をどうしたら軽く抑えることができるか、起きてしまったらこうしよう、とかを事前に考え、望まない状況が起こる前に「備える」ことです。
用意するものや心の準備など、起こる前の今のうちに手を打つことです。
「褒(ほ)める」と「称(たた)える」はまったく違う
次は、「褒(ほ)める」と「称(たた)える」です。
ある行動をした結果が自分にとって好ましい場合に「褒め」たり、「称え」たりします。
「褒める」はどちらかというと親や会社の上司など立場が上位の人から子どもや部下など目下や若年の人に対して、自分の思い通りの結果を出した場合などに行います。
犬などの動物にも行うこともあり、「ご褒美」を伴うことが多いです。
「褒められた人、動物」もそれを期待してしまいます。
一方、「称える」は一般的に優れた行動をした人に与えられるものです。
スポーツなどで素晴らしい結果を出したり、頑張っていたりすると「称えら」れます。
その場合、立場に上下関係のない観衆などが選手に対して敬意やリスペクトを伴う賛辞として、拍手などで表現するにとどまることが多いです。
「褒める」と「称える」とは微妙にニュアンスが違うので、子どもや部下に対して「褒めて育てる」というのはやや違和感があります。
意味を正しく理解する
そのほかに間違えやすい言葉には、
「事実」と「真実」、「怒る」と「叱る」、「努力」と「苦労」、「実行」と「実践」「実施」、「状況」と「状態」、「危機感」と「緊張感」、「信頼」と「信用」、「節約」と「倹約」、「悲しみ」と「苦しみ」、「変化」と「進化」、「結果」と「成果」、「推測」と「憶測」、「笑う」と「微笑む」などがあります。
それぞれの本来の意味やニュアンスの違いを理解して、状況に応じて正しく使いたいものですね。
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