
後悔って何?
あの時にああすればよかった、とかあの時にあれをやっておけばよかった、と後悔することがありますね。
やってしまったことを後になってやらなければよかった、ああすればよかったなどと悔やむことを後悔といい、過去になったものは、たとえ5分前でも取り返しがつかず、修正することもできないので、昔から「後悔先に立たず」といい、後悔をしてしまう状況を想像し、ならないように前もって慎重に行動すべきという教えですね。
後悔は悩みで心のダメージ、反省は成長
また、やってしまったことを悔やむという後悔は、生産性のない「悩む」という状況におちいるだけで、将来に向けての行動にはなんの役に立たないことから、後悔ではなく、そうなってしまった原因を分析して、二度とそのような状況にならないように反省しなさい、ということを「第5話間違えやすい言葉」で書きました。反省は自己成長につながりますが、後悔は心を傷つけるだけです。
最近のできごとであれば、同じような状況がまた巡ってくるかも知れないので、その時に備えて、同じ過ちを繰り返さないために反省をする必要があり、そうしたほうがいいのですが、遠い昔のこととなるともう二度と同じような状況は巡ってくることはないかも知れず、遠い昔の自分には戻ることができないことから、反省しても仕方がないこともあります。
いつ反省するか
例えば、学生時代にもっと勉強をして、もっといい高校、いい大学に入ればよかったとか、もっといい会社に入社すればよかったとか、若い頃から何かに打ち込んでいれば今はそれが上達しているだろうとか、若い時にイロイロなことを経験しておけばよかったとかなど、ずっとあとになってやってしまった過ちに気がつく場合です。
高校や大学への入学のやり直しは、絶対に不可能ではありませんが、必要な条件などを考えると現実的ではありません。
では会社はどうでしょう。
もちろん、外から見ていたり、話しを聞いていたものと実際に入社して、上司や同僚たちや関連部署に囲まれて与えられた仕事をコナしてみて、初めてわかることばかりなので、入社前に想像していたり、期待していたことともしかしたら違う印象を持つかもしれません。そんな時、もっとよく調べてから入社を考えればよかったなどと後悔するかも知れません。
ただ言えることは、楽をして報酬を得られるなどというのは世の中にあまりないことだし、その意味では会社勤めをするというレベルでは、どこの会社に勤めても大きな違いがないこともありますが、担当する仕事の内容や職場の独特な雰囲気が自分の思いと違い、我慢をすることが難しいという場合には、しばらく様子をみたら転職という方法も考えたらいいと思います。
なぜそう思うかです。
学校であれば勉強不足をさまざまな場面で痛感したり、ほかの人との比較で思い知らされた時でしょう。
会社であれば報酬などの処遇への不満ややりがいを感じられる仕事の内容と違う担当を任ぜられた時などでしょう。
ただ、高校や大学に入学し直さなくてもいまの生活に必要な勉強を始め、習得することはできます。
本当に、勉強してこなかったことを反省しているのなら、身に染みるほど、痛感するほど反省をしているのなら、今からでも遅すぎることはないし、手段は考えればあるし、むしろ遅れを取り戻すくらい一生懸命に努力すれば望む状況になることもできるのに、やろうとしないのは、当時でも勉強の必要性は分かっていたのにやらなかったのと同じような理由からでしょう。
もっとも、学生時代に勉強をしてこなかったこと後悔するのはある意味では当たり前のことかも知れません。
これを勉強しておけばいつか役に立つ知識だ、とか一般教養として身につけておかなければいけないから、といわれても将来そんな状況になることなんて学生時代には実感が持てないので、勉強はしておくに越したことはないのかも知れないとは思っていても、身に詰まった必要性を感じないので、時間つぶし程度にしか身が入らなかったですね。
なんの役に立つか分からない箱を一万円で買ってくれ、と言われても買う気がしないのと同じようなものですが、なにか大切なものをしまっておくとか、誰かに差し上げるのにピッタリの箱であれば納得してお金は払いますよね。
社会人になって、仕事上必要な知識があってそれが身についていない時に、勉強してこなかったことを後悔するので、必要な知識だと分かった時点では真剣に勉強をすることになります。
先に後悔をするというのは、何かの目的を明確に意識するということにもなります。
あとで判断する
あとで判断すればいいこともあります。
それは、チャンスかピンチかです。
会社勤めの場合など、本人の希望ではない部署への配属や私生活でも本人が望まない状況への対応などがあります。
会社には大きな意図や都合があって、全体の調整のなかで配置や人事異動を決めています。
置かれた状況のなかで、とりあえず社命に従ったり、その場での対応をしなければなりませんが、与えられた仕事やミッションを一生懸命にやり遂げた後に、あれは自分にとってチャンスだったのか、ピンチだったのかを判断すればいいことで、とにかくまずは自分の置かれた状況に適切に、一生懸命に対応すれば、なにごとも確かな経験となって、無駄になることはあまりないような気がします。
私もこれまで何度も人事異動で配置転換がありましたが、私は新しい勤務先での仕事をできるだけ早く覚えて、必要な知識と技術を習得することに努めました。
また、新しい人たちとの仕事を通じての出会いも楽しみました。
そのおかげで、社内の状況だけでなく、さまざまな仕事を通じて関係の役所や取引先などの事情も知ることができ、新しい仕事に就くたびに自分が成長していくことを感じました。
転職を繰り返してキャリアを積むという方法もありますが、一つの会社のさまざまな職歴とポストを経験することで、その業界に精通することになり、いざ転職となった場合には有利な条件となります。
置かれた状況で、なすべきことをやったり、やらなかったりしたことをあとで後悔することがないように、その場で熟慮し、やると決めたり、やらないと決めたらそれに従い、やると決めた場合には一生懸命にやってそれを経験にし、その結果をあとで評価すればいいのではないでしょうか。
しかし会社の処遇改善は難しいかも知れませんが、自分を成長させるという目的を果たそうとするならば、考え方を変えることで状況に対応できるかもしれません。
仮に転職をする場合には、履歴書にキャリアとして書くことができるので、有利になることも考えられます。
最悪の事態を想定
もちろん世の中には、やってみなければ分からないことはたくさんあるし、いざやってみたら思いもかけないことが起こるというのもよくあることなのですが、これまでの経験と知識をベースに、どこまで先を見通すことができるかという能力が自分の身を守ることに大きな役割を果たすことは間違いないでしょう。
誰かに頭を叩かれてから初めて痛さを知るようでは賢いとはいえません。賢い人は、もし頭を叩かれたら痛いだろうから叩かれないようにするにはどうしたらいいか、と事前に叩かれない工夫をする人です。
「先に後悔する」というのはそういいことです。
仕事の場合は、いまやっていることで考えられる最悪の事態とはどういうことだろうかを推測し、そうならないように慎重に考えて行動することです。
失敗して責任を取らなければならない事態になった場合の責任の取り方は、辞職しなければならないのか、謝罪で済むのかとか、取り扱っている品物を壊したら大変な事態になってしまうので壊さないように慎重に取り扱おうとか、いまやっていることの最悪の事態とその責任の取り方を考えるということは、逆にいうとその事態にさえならなければなんとか対応できるということかも知れないので、必要以上に慎重にならなくてもいいのかも知れないということでしょう。
いつも、なんでも反省する
結論は、「第5回間違えやすい言葉」で書いた内容と同じで、後悔と反省は行為している状態は似ていますが使っているものが心と頭という違いがあって、後悔を感じたら反省に変えて、自分を変えて、状況に対応すればいいのです。
そして、「第30話自分を育てる」で書いたように、なにごとも経験にして、経験を栄養にして、自分を育てるようにしたらいいと思うのですが。
やらないこと、やらなかったことを後悔する、そうしていつまでも後悔している状況が続いている。いまやれば後悔ではなくて反省で、違う自分、違う状況に変われるかもしれないのに。ただやり始めて、一歩を踏み出せばいいだけなのにやれない、やらない理由を見つけて、同じ状況を悔やんでいる。もしかしたら、そういう状況が好きなのかも知れませんね。
昔のことにして、「もう時間は戻せない」を理由にやらないことを自分に納得させているだけ。
やってやれないことはないのです。
やってはみたものの、うまくいかなかったり、思うような結果を出せなかったことについては原因を分析して、どうすればよかったかの対策を考え、次に同じような場面に出会ったら今度はうまくいかせたり、思うような結果が出せるようにすればいいですね。
うまくいかなかった原因は何かが足りなかったことが多いです。
何が足りなかったか、いちばん最初に考えられるのは自分の努力ですね。次に才能かな。
時間が足りなかったかも知れないし、段取りが悪かったかも知れない。支援してくれたり、一緒に活動する仲間に恵まれなかかも知れない。資金が足りなかったかな。しかし、運がわるかったとか、他人のせいにはしたくないですね。協力をしてくれた人を見る目がなかった、ということです。
二度と失敗しないためには、前回失敗した時に足りなかったものを備えておけばいい、ということになります。
やらずに避けて、やっておけばよかったと後悔しているならば、次に同じような機会が訪れたら今度はチャレンジしたらいいでしょう。
どんな食べ物だって、実際に自分で食べてみて、自分の味覚で感じてみなければその味は分かりません。ましてや初めて食べるものならば、他人(ひと)から聞いたり、写真で見たりでは自分にとっての味覚は分かりません。
食べてみて、美味しくなければ二度と食べなければいいのです。
過去やこれまでの自分に対して後悔や反省をしなければならない状況になった、ということは新たな挑戦をしなければならない状況になったといことなので、そこで、その状況に自分をどう向き合わせるのかという決断をしなければならないことになるので、今度こそ後悔や反省をしなくて済むような対処が必要ですね。
自分の能力や可能性を信じて、自分自身が成長する将来を楽しみできたらおそらく納得ができる方向に向かえると思います。
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