1967年の実験で分かったこと
「六次の隔たり:ろくじのへだたり(Six Degrees of Separation)」という仮説があります。
これは、社会的ネットワーク理論で証明されている法則のひとつで、世界中の人間は、「知り合いの知り合い」といった関係をたどっていくと、5人の仲介者を経て、6人目で目指す人とつながるという仮説です。
世界は広い、と感じていても実はどこかでお互いがつながっている、という「スモールワールド・ネットワーク」の象徴的な事例として「世界は小さい」という認識を証明するものです。
この実験は、1967年にイェール大学の社会心理学者であったスタンレー・ミルグラム氏がおこなったもので、その内容は次のとおりです。
任意に選んだ複数の人たちに、一人の特定の人物「ボストン(住所は都市名だけ)に住む特定の人物、Aという名前の株式仲介人(名前と職業だけ)」にたどり着くよう、手紙をリレーするのに、それにふさわしい人に依頼し、依頼された人が同じようにふさわしい人に依頼する、ということを繰り返してAさんに手紙を届ける、というものです。
結果、平均約5人を介して、6人目のAさんに手紙が届いたそうです。
最初に選ばれた人から6人目に、目標とする人にたどり着いたので「六次の隔たり」と言われています。
計算での証明
これは計算でも可能性を証明できます。
人は、平均して44人の知り合いがいる、とされているので、そのなかからAさんに手紙が届くのに役立ちそうな人を選んで依頼し、同じように依頼された人が次の人に依頼する、ということを6回続けると44人の6乗のネットワークができあがることになり、その数は72憶5,631万3,856人となりますが、世界人口が約80億人なのでほぼ5人を介すると、5人目の人の知り合いにAさんがいる、ということになります。
この実験は、多くの人たちからなる世界といえども、比較的少ない人数を介してつながっているという「スモール・ワールド現象」の一例としてSNSに代表されるいくつかのネットワークサービスの下地になっている仮説です。
また、このような人どうしのネットワークと同じように、ほかの物事も目指す目標には6ステップがあれば達成できる、と考えられています。
Facebookの実験
この実験は、1967年に手紙を使って実験したものですが、同じことをFacebookがインターネット上で2016年にアクティブユーザー15億9千万人を対象に調査を行ったところ、平均して3.57人を介すれば誰とでもつながっている状態であると分かったそうです。
インターネットによって私たちの社会的距離はどんどん縮まり、世界はより小さくなっているのでしょうね。
出会いは引きつけ合い
初めてあった人と共通の知り合いがいたり、小学校が同じだったり、昔住んでいた町が同じ、ということはたまにあって、世の中は狭いな、と感じたりもしていたのですが、それは「類は友を呼ぶ」的に引きつけ合っためぐり逢いだと思っていました。
世の中にはたくさんの人がいるのは分かっているのですが、考えてみれば一生を通じて、親しくお付き合いをする人は20人から30人くらいではないでしょうか。
名前と顔を覚えていて、すぐに思い出せる人でも50人はいないかも知れません。
そのなかから人生の伴侶を選んだり、何でも話せて理解しあえる無二の親友になったりするのですから、やはり出会いというのは通りすがりの人たち、ということではなく、何かの縁があったり、出会った時にお互いに引きつけ合うものがあったからなのでしょう。
人との出会いは「運」次第だという人もいますが、同じ場所で活動をして気が合いそうだと感じたり、趣味のサークルなどでの出会いは、その後のお付き合いで親しくなる可能性が高いですよね。
たとえば、頑張っている人と知り合いたければ、そういう人たちが集まっている場所へ行けばいいし、そうでない人と知り合いたくなければ、そういう人たちが集まっている場所に近づかないことです。
いい人との出会いは「運」や「偶然」だけでなく「努力」も必要です。
昔、二人の方から「あなたが紹介してくれた人はいい人ばかりだ」、と言われたことがあります。
いい人でない人は苦手なので、お付き合いしていないからです。
いずれにしても、せっかく出会って、親しくなった人たちは大切にしたいですね。
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