第65話 ビートルズの最後の新曲

考え方が変われば生き方も変わります
悩むことで心を傷つけるより、頭を使って考え、違う生き方を試してみませんか

最新の技術

最近、約50年前に活躍した伝説ともいえるバンド「ビートルズ」の最後の新曲が発売されました。

楽曲のタイトルは「Now And Then」で、「今でも時々」という意味を持ち、昔を思い出すという内容です。

作詞、作曲はメンバーのリーダーであったジョン・レノンさんですが、彼は40年以上前に暗殺され、ほかにメンバーのジョージ・ハリスンさんも20年以上前に亡くなっていて、4人だったメンバーのうち現在生きているのはポール・マッカートニーさんとリンゴ・スターさんの二人だけですから、新曲を演奏するというのは不可能なのですが昔、録音しておいたものを最新技術でよみがえらせた、ということらしいです。

使われたのは「デミックス」というAI技術で昔、録音しておいたカセットテープの音源からジョン・レノンさんの歌声だけを抽出して編集し、それにほかのメンバーの演奏や歌声を重ねた、とのことです。

頭の中では、そうすればできる、ということは理解できても、実際にそれを実現するというのは大変な技術と労力だったのではないかと想像できます。

もしそれが簡単にできたのであれば、まだレコーディングしていないビートルズの楽曲が発見されればすぐに発表されるところですが、何十年もあとになって最新技術の登場を待つしかなかった、ということでしょうから、よほどの最新の技術なのでしょう。

実際に演奏されたものではありませんが、まるでさっき演奏したような新鮮さを感じ、内容も何から何までビートルズそのものだ、という評判です。

インパクトの大きさ

半世紀という時間が過ぎ、二度とメンバーが揃って演奏することがない状態で、それでも当時を知るファンの方々の記憶に忘れずに残り続けているビートルズの楽曲が、「今でも時々思い出す」という内容とともに、なぜいま最後の新曲として発表されたのか、ということにファンの皆さんにとっては大きなインパクトがあり、おおいに感動されたことだと思います。

それというのも、ビートルズの登場は当時、音楽に対してだけでなく、その言動やファッションから世界中の若者の文化に革新的な衝撃を与え、それが半世紀の時間を経ても失せることがなく、カタチを変えても現在のさまざまな文化のいしずえになっているので、当時を知る人たちにとって記憶を呼び起こしやすいからなのではないでしょうか。

実際にはありえないシーンを体験する

「デミックス」などのAI技術によって、実際にあった昔の音や映像を使って、実際にはなかったシーンや音を組み合わせて、あたかも過去の記録のように提供されると、場合によっては新しい感激も生まれることもありますが、多くの場合は記憶とのすれ違いで混乱を生じることもあります。

本当は無かったものがあったように眼の前に現れ、耳に入ってくると、実際にはありえない状況とはわかってはいても、もしかしたらこうだったのかな、という錯覚が起きやすいですが、考えてみれば、思い出というものは都合のいいように美化されて、思い起こすのですから同じようなものですね。

しかし、思い出などというものは、ボヤっとしていて、楽しかったり、いいところだけを思い出すくらいが心地よくて、そうではなかった、と事実を突きつけられ、それらをこわされてしまうのは残念な気がすしますね。

音や動きのないアルバムのなかの写真であれば、それを手掛かりにしてこちら側に思い出が入り込む余白がありますが、声や音、動画まで提供されると思い出というより現実的なものとなり、想像の余地がなく、いいも悪いもそれを受け入れるしかなくなってしまいます。

亡くなった大切な人

亡くなった大切な人が、何年か経って昔の姿で、昔と同じような声でいまの自分に話しかけてきたらどのような気がするでしょう。

同じ言葉を話す様子を記録したビデオを見る場合には、当時の大切な人が当時の私に話している事実の記録なので、思い出が鮮明になるだけですし、また、夢のなかで同じシーンを見たとしてもそれは自分の、いわば妄想なので、それはそれですが、実際にはありえない亡くなった大切な人が、いまの私に話しかける様子を現実のものとして見るというのは、なんだかウソをつかれているような気になるのではないか、と想像してしまうのは私だけでしょうか。

よく、夢でもいいからもう一度会いたい、と望む方がいらっしゃるのは知っていますが、そのような方ならばそんなAI技術によるシーンを見たいと思うのでしょうか。

記憶としての思い出を楽しむか、「もしも」としてありえない過去の想像の世界を楽しむか、まさに個人の生き方の選択ですね。

進歩した社会に求められるもの

科学技術が飛躍的に進歩し、遺伝子操作技術も難病治療などに応用されるのは期待されるところですが、クローン技術の悪用などが懸念され、また、質問に答えたり、文章を作成したり、作曲をしたり、論理矛盾を指摘したり、アイデアを提供する分野でのチャットGPTの技術も、人間の作業をサポートするレベルであれば、効率化という観点からも歓迎されるところですが、いまやそれ自体が考え、想像・創造して一定のカタチを創り上げてしまうことも可能になるとやはり悪用が懸念されます。

今までできなかったことができるようになったり、これまで謎だったものがわかるようになるという科学技術の進歩は受け入れざるを得ませんが、ありもしないものやあってはならないものを出現させるという科学技術の悪用は世の中を混乱させ、不安にさせるという罪深いものなので、あらゆる面で規制されなければなりません。

厳格な倫理基準、社会規範や公序良俗を守り抜くという強い信念や法律などに裏付けされた社会でのみ進歩を続けて欲しいものです。

私たちも、フェイクはいけない、と叫ぶだけではなく、本物とフェイクを見分けられる知識、見識、能力を持っていないといけませんね。自己責任です。

この曲の評価

この度の「ビートルズの最後の新曲」、ユーチューブで見る映像もほとんどが加工され、あり得ないシーンではありますが使われている映像は昔の本物の映像で、音楽もほとんどすべてが人工的ではありますが、声はまさしくジョン・レノンさんで、ウソとわかってはいるものの、歌詞の内容とともに涙が出るくらい懐かしく、彼らに夢中になっていたあの頃を思い出しました。

もともと彼らの存在は現実離れでしたから、この度の再びの登場は、デビューの時と同じように世界中をあっと言わせるもので、そこが彼らの真骨頂なのでしょう。

「Now And Then」、内容は全体としてはウソというよりフィクションで、トリックのように誰もだまされないし、ひっかからないのでむしろ、いたずらやユーモアととらえられ、この茶目っ気もまた彼らなんですよね。

羽澤 幸成

学生時代の県人会幹事長として、のちに大活躍される国会、県会、市会の議員の方や役所の方、趣味の音楽活動を通じて芸能の世界で生きている方など多くの人たちに接し、社会人になってから海外進出など多くのプロジェクトを軌道に乗せ、その分野の専門の方たちとも知り合い、いくつかの新しいことにもチャレンジして、早期退職後の企業信用調査の仕事では、それまでの大きな会社の人たちとは違う中小企業や個人事業の方たちとお会いし、いまは地域コミュニティ活動を通じて地域の方たちと交流活動をしています。
それらのキャリアを通じて、たくさんの経験をし、外国の方も含め多くの人たちに出会い、楽しいことばかりでなく、いやな思いもたびたびして、いろいろなことを学びました。
それぞれの世界で、多くの人たちが作る人間模様のなかで、うまくいっている人やそうでない人もいて、能力以外に考え方が違うのだ、と感じました。
人それぞれ考え方が違うので、当然に生き方も異なり、一緒に仕事や生活をしながら、なぜ、そうするのかを考えることの繰り返しで対応しながらも、自分の信念は曲げずに生きてきたので、心を痛めて悩んでいる人に、こうは考えられないかな、と頭を使って苦境を打開するキッカケになってくれればと思っています。

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人間模様

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