
コミュニティ(生活共同体)
山の中や離れ小島で、自給自足の一人暮らしをしていない限り、人は誰かと共同生活をしています。
頼んだり頼まれたり、助けたり助けられたり、教えたり教えられたり、励ましたり励まされたりして生活をしています。
人が作る社会の仕組みのなかで、精神的にも生活をする上でも人は、一人では生きていけません。
その昔、アリストテレスが言ったとされる「人間は社会的動物」ということになります。
もちろん、人間以外でもそれぞれの動物は独自の社会を作って生きています。
人間は、高度な言語を持ち、会話によって社会秩序を維持しながらそれぞれの共同体を作り、その中で生きています。
会話による意思疎通を英語で「communication(コミュニケーション)」と言いますが語源は、ラテン語の「comm(共に)」と「unio(一致)」に由来する「communis (共通の)」に、「munitare(疎通を良くする)」を合わせたものです。
そして、共同体を意味する英語「community(コミュニティ)」も同じ語源なので、共同生活にはお互いの意思疎通や情報伝達が不可欠ということになります。
生活共同体の最小単位である「家族」から、さまざまな人たちが参加する地域社会、社会の仕組みとして人々が暮らしのなかで深い結びつきを持つ共同体が生まれ、私たちはそのなかで暮らしています。
いろいろなコミュニティ
人間社会にはいろいろなコミュニティがあります。
その分類は、ドイツの社会学者、フェルディナント・テンニースが提唱した社会進化論のなかの「ゲマインシャフト」と「ゲゼルシャフト」が有名です。
「ゲマインシャフト」とは、家族集団、仲間集団、地域集団などの地縁や血縁に基づいて自然に成立している集団で、基礎集団とも呼ばれるとおり、近代以前から存在していたと言うことができます。
「ゲマインシャフト」は「共同体組織」として構成員一人ひとりのために存在する組織で、最小単位でとらえれば家族などの血縁組織があり、それ以外でも身近なところでは、町内会や自治会、PTAや学校のクラブ活動、スポーツや文化のサークルなどがあります。
一方の「ゲゼルシャフト」は、教育機能に特化した学校組織や生産機能に特化した企業組織など、社会の発展とともに必要に応じて特定の目標達成のために人為的に創られた集団を指し、機能集団とも呼ばれています。
「ゲゼルシャフト」は「機能体組織」として、組織自体に目的があり、その目的を実現させるために人材やその他の資源を集め、役割分担や指揮命令系統の整備を行い、組織利益のためには構成員の犠牲が生じる場合もあり、目的が消滅すれば必然的に組織としては解散することになります。
代表的なゲゼルシャフトは営利法人つまり通常の企業です。
ダイバーシティ
いろいろなコミュニティがあるということは、それぞれに参加者がいて、それごとに参加者全員が守らなければならないルールや規則、規律があります。
人は、暮らしていくためには必ず何かのコミュニティに参加またはかかわりを持っています。
じょうずに暮らしていくためには、じょうずな意志疎通能力と方法、じょうずな情報伝達能力と方法を身につけていなければなりません。
誰にとっても快適な共同社会のための潤滑油的な要素としては、「ダイバーシティ」の意識とお互いの立場を理解するという「思いやり」が不可欠です。
ダイバーシティ(Diversity)とは、多様性を意味する言葉で、人々が暮らす社会のなかには人種や性別、価値観、容姿、障がいなどさまざまな属性を持つ人たちがいて共同生活を送っている、ということとその重要性を認識することです。
世の中に自分と全く同じ容姿や価値観、考え方、生きてきた歴史を持っている人はいません。
自分と違う意見を持つ人を無視したり、我慢をするのではなく、受け入れるのです。
人は、暮らしていくため、生きていくためには、好むと好まざるとにかかわらず、いろいろな人たちがいるコミュニティと関係を持つことになります。
暮らしやすさ、日々の楽しさや快適さは、他人に求めるものではなく、そんなコミュニティの仕組みを知り、自分の意識や考え方、他人との接し方、生活の知恵などで自分自身が納得し、他人に迷惑をかけない範囲での自己満足のレベルで良し、とすればそれほど難しくはないかも知れませんね。
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