第64話 人事考課

考え方が変われば生き方も変わります
悩むことで心を傷つけるより、頭を使って考え、違う生き方を試してみませんか

人事考課とは

一般の企業での個人の業績評価の方法として人事考課がありますが、評価の対象は一定期間に与えられたミッション(任務など)に対する業績だけではなく、勤務態度や能力についても査定され、報酬(給与や賞与)の算定基準や異動配置、能力開発に活用されます。

もちろん人事考課は、一般企業だけでなく役所や病院、学校などでも行われていると思いますが、ここでは一般企業を例に取り上げることとします。

人事考課は相対評価

企業での人事考課は、社内に評定のルールはあるにしても、最終的には上司の主観に依るところが大きくなります。

〇✕式の正解があるテストの採点でない以上、人事考課に限らず、人が人を評価する場合には程度の差こそあれ、よほどの達人でないと好き・嫌いのフィルターを外して相手を的確に評価する、というのは難しいことだと思います。

しかも対象となる個人への絶対評価というのは難しく、誰かとの比較という相対評価になりがちです。

個人個人への目標の具体的な内容やそれに対する評価方法が設定され、キチンと説明されている場合には絶対評価は有効ですが、それには個別に目標を設定し、その達成度を管理するという手間と客観的な評価システムが確立されている必要があります。

一方、相対評価の場合は、会社やグループの目標に対して、全体としての達成度とそれに対する個人の貢献度という尺度になるので、比較的個別の評価がしやすく、また相対評価なので社内に競争意識も芽生えやすくなるというメリットもあります。

ポイントとなるのは、誰と比較するかです。

まったく同じ仕事をしているという例はあまりないので、せいぜい同じような仕事をしている人との比較であればそこそこの妥当性はあるのかなと思いますが、同じ仕事をしたこともない上司との比較となると、客観性を保つのは難しくなります。

優秀な上司

優秀な上司の場合は、「自分だったらもっといい成果を出していた、または出せる」という印象を持つ傾向があり、その場合は評価が低くなってしまいますし、そもそも目標が高めに設定される傾向もあって、高評価を得るための状況は厳しくなりがちで、また、周りに優秀な同僚がいる場合にも同じような傾向となります。

さらに、優秀な上司は社内でも信頼が厚いので、さまざまな仕事を引き受けることになり、そのグループはほかと比べて忙しくなり、本来の業務に専念することが難しくなる傾向があるので、そこでも人事考課は厳しいものになる可能性があります。

その逆に、あまり優秀でない上司の場合には、「自分より優秀で、結果も出している」という印象を得がちで、その場合には評価が高くなる傾向がありますし、周りにあまり優秀な同僚がいない場合にも同じような傾向となります。

企業によっても異なるとは思いますが、評点は100点満点のうち何点、というのではなく、例えば5つくらいのランキングのどのくらいの位置、というものではないでしょうか。

人事考課の評価項目

適切な人事考課を行うためには、社業に沿って、業務内容に適した人事考課の評価項目をどれだけきめ細かく設定できるかですが、少なくても部門や課、係ごとのグループ別や職位ごとに設定される必要があり、さらに個別に設定されたミッションごとの成果も評価の対象となるでしょう。

与えられたミッションに対する結果としての業績についても、成果の程度だけでなくスケジュールや費やした費用などのプロセスや勤務態度なども合わせて、総合的に、できるだけ客観的に評価されなければなりません。

評価の対象となる勤務態度についても、「文句も言わずに、一生懸命にやっている(ように見える)」と、いい評価を得られるケースが多いようですが、職場内では一生懸命にやっていない人を探すのが難しいくらい一生懸命にやるのは当然で、むしろ優秀な人は容易にミッションをこなしているかも知れないので、「一生懸命さ」というのは評価の対象にならず、「責任感」や「前向きさ」、「協調性」などが対象とされるべきではないでしょうか。

「頑張る」グループ

一緒にいるグループが、「頑張る」グループかそうでないかは不満や愚痴を言うか、言わないかで分かります。

頑張っている人たちのグループは、自分たちに課せられた指示やミッションを理解していて、その達成に一生懸命なので、不満や愚痴を言っているヒマがないのです。

怠けものが多いグループは、自分たちに課せられた指示やミッションを達成できないことが分かっていて、その原因が自分の能力が足りないことに気がついていながら、そのほかの指示などの内容や指示をした人、職場環境としていて、それは変えることができないので不満や愚痴になってしまうのです。

評価をする側の人が一定レベルの「知識」「見識」「経験」「技術」「包容力」を持ち合わせているケースというのは、もしかすると評価される人にとっては幸運かも知れません。

評価される人も適宜に適切なアドバイスや指導があったり、能力が発揮できるようなミッションを与えられれば状況は変わってくるでしょう。

「評価」のフィードバック

人事考課には、評点をつけて終り、というのではなく全体のなかでなぜそのような評価になったのか、課題になる点は何か、これからどうすればいいのか、評価期間中に業務上障害となった事柄がなかったか、などについて円滑なコミュニケーションによるフィードバックによる透明性が必要です。

人が人を客観的に、公平・公正に評価するというのは大変に難しいことなので、全体の状況を的確に把握した上で、どこまで評価の対象となる人のことが理解できているか、が前提になければなりません。

評価される側にとっても、評価して欲しいタイプの人に評価されるというのは理想として、現実的には評価する人に、取り入ってへつらうのではなく、自分を正しく理解してもらう努力が必要となります。

人事考課は、企業全体の活性化のために、対象となる個人の仕事へのモチベーションや能力開発による人材育成、適正配置などにつながらなければなりません。

羽澤 幸成

学生時代の県人会幹事長として、のちに大活躍される国会、県会、市会の議員の方や役所の方、趣味の音楽活動を通じて芸能の世界で生きている方など多くの人たちに接し、社会人になってから海外進出など多くのプロジェクトを軌道に乗せ、その分野の専門の方たちとも知り合い、いくつかの新しいことにもチャレンジして、早期退職後の企業信用調査の仕事では、それまでの大きな会社の人たちとは違う中小企業や個人事業の方たちとお会いし、いまは地域コミュニティ活動を通じて地域の方たちと交流活動をしています。
それらのキャリアを通じて、たくさんの経験をし、外国の方も含め多くの人たちに出会い、楽しいことばかりでなく、いやな思いもたびたびして、いろいろなことを学びました。
それぞれの世界で、多くの人たちが作る人間模様のなかで、うまくいっている人やそうでない人もいて、能力以外に考え方が違うのだ、と感じました。
人それぞれ考え方が違うので、当然に生き方も異なり、一緒に仕事や生活をしながら、なぜ、そうするのかを考えることの繰り返しで対応しながらも、自分の信念は曲げずに生きてきたので、心を痛めて悩んでいる人に、こうは考えられないかな、と頭を使って苦境を打開するキッカケになってくれればと思っています。

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